雨恋~雨のちキミ~

「あんな大奥みたいにゾロゾロ引き連れて歩いてたら、嫌でも目立つやろ」


鼻で笑う声が聞こえた


大奥って………


テレビ画面に映し出される、定番の光景が脳裏をよぎる

同じように自分達の姿を想像して、思わず失笑した


「………そんなに異彩を放ってた?」


「ま…。他人の目を引く分には、充分やったんちゃう?───あ!」


「い───っ…」


痛いっ!!!


突然手首が解放されたかと思うと

立ち止まった彼の背中に顔を強打する

ゴリッと鈍い音を立てた鼻がジンジンして痛い


一瞬、目の前に星飛んだし…


文句の一つでも言おうと彼の背中を睨み付けると


「おざっす!」


勢いよく前に折れた塩野くん

そして、彼の陰から姿を現したのは───


「水…月………先、輩…」


うわっ!

今、あたしめっちゃ睨み付けてたかも…


両手で両頬を押さえ、無理矢理笑顔を作る

さっきどんな表情を先輩に向けていたのかは分からないけれど

今目の前に居る先輩は、優しい笑みを浮かべてあたし達を見ていた


「おはよ」


「おっ、おは…おはよう、ござい…ま…」


顔が熱い

照れるなんて、あたしの柄でもないのに

先輩を目の前にすると

なぜかしどろもどろになってしまう