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すべての授業が終わり教科書を鞄に片付けていると、視界の端が薄暗いことに気付いて窓の外に視線を向けた


あ…


さっきまでの青空はどこへやら

灰色の雲が一面を覆い、音も立てずに雨を降らせていた


そういえば6月やもんな…


30度を超える日もあり、夏を思わせるような気温が続く中、ジトジトしたあの不快な空気を想像するだけで気が滅入る


でも───


あたしが恋をしたのも、ちょうどこの時期だった


先輩は今日もバスケ…かな?


ここからは屋根しか見えない体育館を見下ろし、先輩を想う


先輩はきっとあの時のことなんて、覚えてないんやろな…


突然降り出した雨

びしょ濡れになるあたし

そんなあたしに傘を差し出してくれた優しい男の人


先輩は、あの時からあたしの王子様───