東堂くんは喋らない。






「ちょっと…!」

「てめぇ」


思わず止めようとした私より先に、ココアを抱き上げた東堂くんが低い声を出す。




今まで見たこともない、東堂くんから立ち上るどす黒いオーラ。





…誰にでもわかる。




東堂くん、物凄く怒ってる…!





「…ココアを蹴飛ばしといてただで済むと思ってんのか…?」





ひっひィ!こ、こわいー!!!




思わず後ずさりする男子たちを、ギロリと東堂くんの怒りに満ちた瞳が睨んだ。




「今すぐ消えろ。さもなくば殺す」



「ひっひー!何だコイツ…!」



そして男子たちはまるでゴキブリのようにあっという間に消えた。




「おい」


「ひー!」



思わず一緒に逃げようとした私の首根っこを、東堂くんがつかむ。





「…何でお前まで逃げんだよ」



「い、いや…つい」





恐る恐る振り向くと、東堂くんは少しだけいつもの彼に戻ってた。