東堂くんは喋らない。





突然割り込んできた冷えた声に、男子たちの動きが停止する。



見ると、いつの間にか東堂くんがすぐ近くに立っていた。




「ワンワンッ!」




ココアも一緒に。



威嚇するように毛を逆立たせて唸ってる。




「と、東堂くん…」



まさか東堂くんが来るとは思わなかったから、この場にそぐわない間の抜けたような声が出た。




「は?何おまえ。この子の知り合い?」



「………」




私の手をはなし、東堂くんに向いた男子の質問をシレッと無視してる東堂くん。



いやいや、そこは否定か肯定かしてよ。ていうか肯定してよ!まさか東堂くんの中で“知り合い”レベルでもないわけ!?




ガーン、と一人ショックを受けている私をチラッと見て、東堂くんがゆっくりと口を開いた。




「……とにかく邪魔。どけ」



「はぁ?お前がどっか行けよ」



「…無理。ここ、俺とココアの散歩コースだから」



「はぁ?ココアぁ?」




意味わかんねぇ、とでも言いたげにため息をついた男子が、あぁと足元のココアに気付いてしゃがみこむ。





「あぁ、コイツか。ちっせー犬…」




そして何気なく手を伸ばして、次の瞬間




「いってぇえええ!!」




ガブリと思い切りココアに噛みつかれた。




「何すんだこのクソ犬っ!」




もう一人がココアを蹴り飛ばす。




キャン、とココアが地面に打ち付けられて鳴いた。