東堂くんは喋らない。






「はぁあ~…」



「ウー、ワンワン!」



「あー…ごめんハチ。お散歩行こうね」




放課後、家に帰ってボンヤリハチの小屋の前で立ち尽くす私に、急かすようにハチが吠えた。




いつものようにリードをつけて、いつものように公園目指して歩き出す。





ハチの公園目指す足が速い。


きっといつもみたいにココアに会えると思ってるんだろうな。




でも




「…やっぱり、いない」




近所の小学生だと思われる子供たち3、4人が鬼ごっこをしているだけ。




クゥーンと鳴くハチもなんだか悲しそう。




「ごめんね、ハチ」




しゃがみこんで目を合わせると、ハチがクリンと首をかしげた。




「…もう、会えないのかも」





そう言いながら、私は思ったよりも私が、落ち込んでいることに気付く。





…別に落ち込むことなんてないのに。




だって私は東堂くんに嫌われていて、この公園で会ったって、どうせそんなに話してくれるわけでもない。




私と付き合ってる、なんて変な勘違いされたら、東堂くんがここを避けるのなんて当然のことで。





って、わかってるのに。






…私。もしかしたら思ってたよりも、ここで東堂くんに会えることが







ちょっと、嬉しかったのかもしれない。