東堂くんは喋らない。






…き、緊張する。



4時。


私はひとり、公園のベンチに座って東堂くんを待っていた。



よく口から心臓が飛び出そう、なんていうけど、まるで体中が心臓になったかのような感覚。



ドク、ドク、という音が、自分の耳にもハッキリと聞こえる。




「ワンワンッ」



足元のハチが、ベンチに座ったまま動こうとはしない私に向かって急かす様に吠えた。




「ごめんねハチ…私いま、ハチと遊んでる余裕ないの」



「クゥーン?」



何を言ってるんだ?とでも言いたげに首を傾げるハチ。



ハチ…君も大人になったら分かるよ…。





それから少しして、ハチが公園の入り口に向かって「ワンワンッ!」と勢いよく吠えた。


そしてブンブン尻尾を振り回しながらクルクルとその場を回る。



ハチがこんな仕草をするときは決まってる。



もしかして…!




私もベンチから立ち上がる。





「…ごめん、待たせた?」




制服から私服に着替えた東堂くんが、ココアに引っ張られるようにして歩いてきた。




「う、ううんっ全然!てか、まだ約束の時間前だし…!」


「…あ、あぁ、そっか」



公園の時計を指差して言う私に、頷く東堂くん。



足元ではココアとハチが、久しぶりの再会に嬉しそうにじゃれ合いだした。




「………」


「………」




そしてやっぱり、沈黙に包まれる私達、飼い主たち。