「お前、ほんっとバカか!何であそこで出てくんだよ!」



「ご、ごめんて!なんか嬉しくなっちゃって、つい…っていうか山本も、こういうことなら初めに言ってよね!」



そして駅前まで逃げ帰ってきた私達。



はぁはぁと肩で息をしながら言い争いをした。




「まーいい、オッケーもらえたことだしな!」



私を責めつつも、嬉しいのを隠しきれない、といった様子の山本。




「ほんと、よかったね!私正直、断られると思ったよ」


「あぁ、俺も俺も…って、やっぱり俺ってそんなに脈ナシなのか!?傍から見てても!?」



驚愕している山本を、まぁまぁとなんとか宥める。




「まぁいいじゃん、柑奈と遊園地には行けることになったんだから!」



「お、おぉ!まっそーだな!」



そしてうんうん、と自分を納得させるように何度も頷いた。



「俺、頑張ったよな!我ながら」



「うん、よく頑張った!」



「だよな…じゃ、つーわけでお前も、頑張れよっ!」




そしてポンポンッと私の肩を叩く。



え…



「いつまでもウジウジしてんなよな、お前らしくもない」



そしてわざとらしく難しい顔をして、腕を組んだ。




「いいか!かっこいい恋なんてこの世にない!BY俺!!」



「は…はぁ?」



「一回フったからとか、自分勝手だとか我儘だとか、そんなのばっか気にしてんなよ。
それ全部ひっくるめて恋なんだから、しょーがねぇだろ」




そう言い切る山本は、なんだか少しだけ男らしく見えた。




「そんなことより、自分の今の気持ち伝えてやる方が、よっぽど大事なんじゃねーの?」