東堂くんは喋らない。





「それってメールじゃダメな用事なの?」


「ダメだ!!
あの、その、峰岸!」


「なに?」


「お、おおおお俺と…!」



どもりまくりの山本が、ポケットから何かのチケットらしきものを二枚、取り出した。



「俺と、ゆっ遊園地に行かないか!?」


「遊園地?」



柑奈の不思議そうな視線が、山本の持つチケットに注がれる。



がんばれ山本~!!



私は知らず知らずのうちに、拳を握りしめそう応援していた。




「…2人で?」



柑奈の探るような表情に、山本がゴクリと息をのんだのが分かった。




「も、もちろん!というのはだな、来週の日曜日は仮面ライダーが来園することが決定しており、ここのソフトクリームは安いけどおいしいと評判で…!」




…なぜか遊園地のPRを始めた山本。



ちょっとちょっと、落ち着いてよ!!



ハラハラしながら様子を見守っていると、ふっと柑奈が笑ったのが分かった。




「み、峰岸?」


「わかった。いいよ別に、遊園地くらい」




えっ…





「「やったー!!!」」



そう叫んだのは山本と、電柱の陰から飛び出した…私。





…あ。




「え、香弥?」



柑奈が私を見て目を丸くするのと同時に




「何やってんだバカヤローッ!」




と山本が叫んだ。



そして




「みっ峰岸、じゃっ遊園地のことは追って連絡するわ!じゃーな!」




風のように走り去っていく。




「かっ柑奈ごめんね!これには深~い事情が…あるわけじゃないんだけど、また詳しく説明するから!じゃっ!」




私も怪訝そうな柑奈にそう説明して、慌てて山本を追った。