東堂くんは喋らない。








日曜日。



私は家でひたすら、ゴロゴロしていた。




「ちょっと、邪魔!やることないんなら手伝いなさいっ!」




とお母さんに怒られたので、リビングのソファから移動し、自室のベッドでゴロゴロすることにする。




…なんだか何にもやる気が出ない。




「ワンワンッ!」



近所の、顔見知りのおばさんでも来たのだろうか。



ハチが外で元気よく吠えている声がする。




…あと少ししたら、ハチの散歩に行こう。




そう思って、…また「…はぁ」と深いため息が漏れた。




私とハチのお散歩コースである、あの公園。東堂くんとお決まりのようによく会う、あの公園。




一時は私が避けてしまっていたけど、最近は…めっきり、東堂くんの方が寄り付かなくなってしまった。



東堂くんがあの公園に姿がないのを見る度、ギュッと寂しさに襲われる。




…なんだか今思うと夢みたいだ。



当たり前のようにあそこで東堂くんに会って、当たり前のように会話して。足元では、ハチとココアがじゃれている。




目を閉じて懐かしさに浸っていると、「ウーッワンワンワンッ!!」とハチの吠える声が激しくなった。



「ハチ、ちょっと静かに…」



ガラッと窓を開けて下を見下ろした私の目に映ったのは、毛を逆立ててメチャクチャ唸っているハチと――




「よっ!せっかくの日曜にゴロゴロしてんなよなー!」




そんなハチに威嚇されまくっている、山本の姿だった。