東堂くんは喋らない。





「と、東堂くん…?」


キョトンとした顔で、俺に腕をつかまれたまま、見上げてくる松原。



な…

何やってんだ俺!




「……何でもない」



俺は松原の腕を離すと、ニヤニヤしている山本を出来るだけ視界に入れないようにして、二人に背を向けた。



「…先帰るわ」


「え?東堂くっ…」



追いかけてきた松原の声を、図書室の扉でシャットダウンする。





松原は別に俺のモンじゃない。


アイツと俺の関係は、あくまで“ただのクラスメイト”。




そのままでいたいと願っているはずなのに、気付いたらそれと矛盾するような行動ばっかりの俺。




俺は…一体どうしたいんだよ。





こんなに自分で自分が分からなくなるのは初めてで、少なくとも…呑気にラーメン食ってる余裕はない。