東堂くんは喋らない。





「…で、食うの食わないのどっち」



「くっ食います!!」



東堂くんから急かされるまま勢いこんで答えると、ふ、と微かに東堂くんが笑った。




「…じゃ、こっち」




そして颯爽と私に背を向ける。




…見間違いじゃないよね。



東堂くん今、笑ったよね…!!




「うん!」




なんだか嬉しくなって、私も颯爽と東堂くんについて…いくことはできなかった。




「なっな何これ!死ぬ〜!」




花火大会の屋台の前は、やれカキ氷だやれ焼きそばだと買い求める人でもはや戦争状態。



あっという間に東堂くんの姿を見失い、そんな彼の姿を探すこともままならず人混みに押し流される…もはや、押し潰されている。



「とっ東堂く…いでぇ!!」


誰だ今か弱い乙女の足を思いっきり踏んだのはー!




「東堂くーん!!東堂くんどこ「うるさい」



ガシッと不意に掴まれた腕。


見ると、息を切らした東堂くんが、しっかり私の腕をつかんでいた。




「…いるから、ここに」




「と…東堂くん…よかった!もう一生会えないかと思ったよー!!!」



「……大袈裟すぎ」




あまりの感動にギュッと東堂くんのTシャツを握ると、そんな呆れた声と共にその手が振り払われた。



えぇっひどっ…!!



と思ったのもつかの間。



振り払われたはずの手が、ふ、と掬い上げられ、そしてしっかり握られる。




ギュッと手と手が重なる感覚に、思わず、う、と息が詰まった。





「…あんたのペースに合わせてると、たぶん一生焼きそば買えない」