「いけるか…?柚希」
「…ええ。時間を取らせてごめんなさいね!皆」
下にいる皆に叫ぶ
すると
「どってことねーぞー!」
「遠慮すんなー!らしくねーよ!」
「てゆーかお前が謝るとか雨降るかもなー!」
「槍が降るかもしれねーぞ!」
「おーおー!明日は出歩き注意だなー!」
「「「ギャハハハハハハハハハ!」」」
下っ端たちの笑い声が響いた
幹部たちも笑っているわ
「…殴られたいの?」
「「「サーセンっしたァァァ!」」」
息のあった謝罪
ほんっと…
「仲がいいわね…ここの族は…」
「「「っ!!?」」」
「馬鹿みたいに仲が良くて…下っ端も幹部も関係なしに仲良くて…誰にも敬語は禁止って言うルールには驚いたわ。そんなルールが存在する暴走族なんて聞いたことがないわ」
後ろを向いて、優馬の方を向いた
「これも、あんな総長がいるお陰ね」
「…うるさい…早く要件を言え」
「私、転校するの!!!」
倉庫内がザワついた
「…――凰乱高校に!!!」
「嘘っ…柚希…!?嘘だよね!?」
「ごめん…本当よ…今朝兄さんに言われたわ。明日から凰乱高校に転校しろと」
「…なんで…よりによって凰乱なのさ…あんな全寮制の学校なのさ!」
「ごめん…私だって行きたくないわ…でも、行かなくちゃいけないの…」
いつの間にか、倉庫内は静まり返っていた
「だけどっ!決して寝返ったりしないわ!私はっ…この龍乱が大好きだから!この族の仲間になりたいから!」
息を呑む声が聞こえた
「決心がついたところだったのよ…本当なら今日それを言いに来た筈なのに…こんな最悪な事を報告しなければならなくなるなんて…」
だけど、と優馬の方を向いて言葉を繋いだ
「私を仲間に入れてくれないかしら。優馬。私も、ここで馬鹿みたいに騒ぎたいわ。ここでなら、騒げる気がするの。ここでなら、笑える気がするわ」
下手くそな笑顔だけど、きっと笑えてる
私の精一杯な笑顔
「駄目かしら…?」
