いつもの倉庫

シャッターをカラカラと開ける


中に入れば何故かいつもより騒がしい

いつも騒がしいけれど


「…優馬?」

「!柚希ぃー!」

白結優馬―shirayui yuuma―

能力は透視

「なにをしているの?」

「さっき、凰乱が攻めてきた」

「えっ…!?」

凰乱は、私が転校する学校

その学校の殆どが凰乱に入っている

そのことを含めて話さなくてはね

「優馬、話さなきゃいけないことがあるの」

「…分かった。すぐに皆を集める」

優馬は本当に頼りになる総長ね


ここは、世界最強の暴走族『龍乱』の溜まり場

私はここに入っている訳ではなくて

遊びに来てる…って言うのかしら

取り敢えず、時々顔を出している

まあ、一緒に戦うこともあるわね


感情表現が難しくて、笑うこともなかった私を

笑顔で迎えてくれるこの場所が

私は大好きで


前から入らないかって誘われていた

けれど、断っていた

でも…最近は入ってもいいかなって…

だけど、そう思っていた矢先の転校だった

しかも行き先はあの凰乱高校


全寮制だから会えるのは限られてくる

…少し寂しい


「…柚希?」

「…蘭…」

「ヤッホ!どうしたの?優馬が話したいことがあるって…」


三石蘭―Mitsuishi Ran―

能力はテレポーション

女の子ながら、龍乱の幹部をやっているの


「…皆が揃ってから話すわね」

「…うんっ!待ってる」

本当に蘭はいい子

何も聞こうとしない

あの時も凄く助かったわ

だから話せた


…――誰にも話せない過去を

誰にも話せない能力を

皆に打ち明けられた

そんな人たちと離れるなんて…

「……―――離れたくない…」

「ゆーちゃん?」

「((ハッ…樹一…」

「…今の離れたくないってどういうこと」

「太一…」


横山樹一―Yokoyama Kiithi―

能力は変化

太一とは双子

龍乱の幹部


横山太一―Yokoyama Taithi―

同じく能力は変化

樹一とは双子

龍乱の副総長


「…いつからそこに…?」

「…結構前からだ」

太一が言った

「…離れるなんて…嘘だよね…?ゆーちゃんらしくないよ〜?嘘つくなんて…」

少し泣きそうになっている樹一


「…ちゃんと話すから…」

「っ…ゆーちゃん…」

「柚希。皆揃った。樹一と太一も、向こうに行って」

「…ああ」

「…うん…」

今までいた部屋を出て、二階へ行く

そこは下の広間が見下ろせる場所

後ろには幹部が座っていた


下には下っ端たちが大勢いた

言わなきゃね…全部