昨日そわそわしながら枕元に畳んだ制服に袖を通す。
朝ごはんもこぼさないよう気を付けて、中学とは違う短いスカートを何度も鏡で確認して。
「ねぇ、大丈夫?変じゃない?」
とお母さんに尋ねては
「大丈夫よ、可愛い可愛い」
と笑われた。

 今日から高校生。私は新しい世界に飛び込む。もちろん中学が同じ人もたくさんいるけど。
友達できるかな。いじめられたりしないかな。何だかんだ期待より不安が大きくて、スカートの長さは膝少し上と控えめだ。
「ほら、そろそろ行かないと遅れるわよ」
玄関前の鏡の前から動かない私にお母さんが早く出ろと催促する。
わかったわかった、とドアを開いた。

「いってきまぁす!」
歩きなれないローファーで、見慣れた桜並木を歩いた。