王子の結婚


熱い眼差しにその意味を汲み取って、ユナの唇に優しくキスを落とす


さっきまでたじろいでいたのが嘘のように、ソウから与えられる次の時を待っている

私を求めてくれる気持ちが嬉しい
貴方のものになりたい…


ユナの気持ちとは裏腹に、唇を離すと同時に起き上がった
腕を引き、ユナも起こしてベッドの縁に座らせる
自分も正面に座り、ユナの両手を片手ずつギュッと握った

「ごめんね、何を焦ってたんだろうね」

にっこりと笑ってユナに話しかけるその顔は、もうすっかり冷静になっている
でも、ユナは火照った身体と心が落ち着かない

「私、貴方のものになりたい…」

恥ずかしい思いも振り切って、抑えられない気持ちを伝える
ソウはその言葉に嬉しそうに顔を綻ばせた

「うん、僕も君を抱きたいよ
でも醜い嫉妬から君を無理矢理僕のものにしようなんて、本当に情けないね」

意志に反して少し不満顔なユナを見て、

「僕が煽ったのにごめんね
でもユナが僕に応えてくれようとしたのがすごく嬉しいよ
でも、今君を抱いたら1日だって離せなくなってしまう
結婚の儀の間、人の目を盗んで会いに行っちゃうよ」

冗談のように笑った

「あと数日でユナは僕のお嫁さんだね
その時は思いきりユナを抱かせて」

真剣な瞳、でもそこには妖艶さも含んでいて
ユナはドキドキする胸を抑えて僅かに頷いた


「今日は、朝までずっと一緒にいよう
僕が君を愛してることを伝えさせて
君からの愛を感じさせて」

ギュッと握っていた手を引かれ、前につんのめり、まんまと胸の中に収められる
わざとらしいほど力いっぱいギューッと抱き締められる
痛いくらい、幸せを感じた





『誰をも惹き付ける魅力をもつ王子』
街で聞いていた王子の噂
美貌、というのは尾ひれのついた結果なのだろうけれど、強く惹き付ける魅力があるのは感じている

優しくて、甘くて、少し意地悪で、時々どうしようもないほどの色香を纏う
人を惹き付ける魅力は見た目のことなんかじゃなく、王子自身


私にだけじゃなく、誰に対しても優しい
身分の低い従者だろうが、分け隔てない
王宮に来て数日、彼の他の者への態度を何度も見てきた


「…私も少し妬いてました、王子の周りの皆さんに…」

朝までずっと一緒にいよう、という言葉通りに今夜はユナに与えた部屋で休むと言い、同じベッドに入っていた
抱き寄せられたソウの胸元で小さくこぼす

そんなユナの頭を撫でて微笑む

「ユナしか見えないから安心して」



心臓が痛いほどのドキドキと、心が震えるほどの幸せに包まれて、はじめて二人で朝を迎えることになった