王子の結婚


その後数回そこに出向いたけれど、会うことは叶わなかった

そして、街へ出ていることも気づいていたらしいが、さすがに見過ごすのももう限界だったようで、あの林に出向くことができなくなった




それからしばらくして姫との婚約がなくなって、それまでの援助で国は持ち直してきていたけど、まだ財力が足らない

でも援助を求めて他国と繋げようとすることはもうなかった
いきなり打ち切られた婚約話、そしてそれによる戦争勃発の危機
やっと持ち直した国を傾けることにならないよう、慎重になった


だから財力を求めるのは国内からと
やはりその術として僕の婚姻ということになった

王家と友好的な名家はいくつもある
皇太子と婚姻関係を結べるのは願ってもないこと
中でも特に有力な家が選ばれた

どこの家も僕と同じ年頃の娘がいるということだった
どこの娘でも変わらない
誰でもよかった


王からどの家が利になるか、自分で考えろとその選ばれた三家の情報を渡された
家業、家柄、財力など、その家の細かな情報が記されている
娘の情報は少しもない
ただの政略結婚というのがありありと分かる


林で会ったあの子に癒やされた気持ちなど、どこかに行ってしまった


三家の情報から僕が選んだ家を王に告げると、王も同意だと言った

公正に選ぶためにと家の名は伏せられていた

そして明かされた僕の選んだ家は、いつかの林で出会った主人の家、ヘルベルト家だった


婚約の話を進めるためにと、あの主人が王家に出向いた
その家の長女は僕と同い年
成人とみなされるまで数年は待つことになるが、その間も助力を惜しまないという


王が席を外し、彼と二人で話す機会を与えられた

「あの時は下の娘の相手をして下さりありがとうございました」

深々と頭を下げられたが、何のことか分からなかった
僕と同い年の娘と会った機会はないと、思った時にあの子のことを思い出した

「あの子は貴殿の娘でしたか?」

驚きを隠し問うと『はい』とすぐに返事があった

「僕が誰と分かりながら、何も聞かず対応していただいたことに、今さらながら感謝します」

あの子は父親から距離を置かれていると言っていたのに、眠ってしまった娘の側にいた…?

「こちらこそ、感謝のしようがありません
皇太子のお陰であの子はずいぶん変わりました
お恥ずかしながら、事情も知れているかと思います」

そして彼はあの子のことを語り出した