鬼羅は一層千代の手を強く握る。
放すものか。


この手を、絶対に。




「時光さま!私は、望んでここにいるのです!私は、ここで生きていくことを選んだのです!ですから・・・!」

「そやつにそう言えと脅されているのであろう?わかっている。今助けてやるからな!」




千代の訴えにも耳を傾けず、決めつけている。
時光は高々と手をかざすと、家来たちが一斉に鬼羅に襲い掛かってくる。




「千代を傷付けるでないぞ!」





時光の号令のもと襲い掛かる家来たち。
鬼羅は千代の身体を抱え上げると軽々と木の上に飛びあがる。
そしてその木の枝に千代を下ろす。




「ここで待っていろ」

「ですが、鬼羅・・・」

「大丈夫だ。心配するな」




鬼羅は千代の頭を優しく撫で微笑むと木から飛び降りていく。