森は進んでいくにつれ、本当に辺りは木々に囲まれ外界から遮断されたような感覚に陥る。
振り向けばもう城下は見えないほど遠くに過ぎ去っていた。



そこに来て初めて不安がよぎる。




好奇心でここまで来た。
心を躍らせ、この冒険を楽しんでいただけの時は終わり、言いようのない不安が千代を襲う。



孤独だ。
耳に入るのは木々がざわめく音。
風が木々をすり抜けていく音。


そして自分が踏みしめている地面の音。





ただそれだけなのだ。




化け物がいる。




そう聞かされてきたが、その化け物でさえ姿を見ない。





一人ぼっち。





その言葉が頭を埋め尽くしていくのだった。