鬼羅との生活は、新鮮だった。 初めて川で魚を捕り火を起こす。 小さな小動物を追いかけたり、木に登ってみたり。 千代にとって、今まで生きてきたどんな一日よりも濃い日々であった。 「鬼羅!見て、あれはなあに?」 「・・・犬だろう」 「まぁ、可愛らしい!」 なにを見るのも新しく目を輝かせる千代。 そんな千代を、鬼羅も温かい目で見ていた。 「もう日も暮れる、小屋に戻るぞ」 「はい!」 一日はこんなにも短かっただろうか。 城にいた時にはどれほど長かったことか。