千代が目を覚ますと、辺りは明るくなっていた。
チラリと視線を動かすと側で鬼羅が壁にもたれて眠っていた。


自分の両手を見ると不器用に包帯がぐるぐると巻かれている。




「鬼羅が・・・」



鬼羅がしてくれたのだろうか。
嬉しくて、胸に手をそっと抱きしめた。





「目が覚めたか」




いつの間にか目覚めていた鬼羅が瞳を開け千代を見ていた。
暗闇ではない、はっきりと目に映る鬼羅の姿。




「今からでも遅くはない、城に戻れ」

「・・・なぜそのようなことを・・・!」

「こんなことをして、影正が黙っているわけがないだろう」




もっと受け入れてくれるものだと思っていた。
しかし、鬼羅は切り捨てるようなことを言う。

千代の胸が痛んだ。