時光との面会の日は無情にもすぐにやってきてしまった。



「千代殿、失礼するよ」



聞きなれない声がして戸が開く。
その先には、凛とした姿の時光の姿があった。




「千代にございます」

「ああ。時光だ。そなたに、早く会いたくて、この日を待ち望んでいたのだ」




時光は、千代の姿を見て気持ちが高ぶっていた。
千代はとても美しい少女だった。
そして汚れなき幼気な少女。


それを我が物にできるのだと。
心の中でほくそ笑んでいた。



「急ぎ輿入れの申し入れがあったと聞いたときにはどのような姫なのかと思っておったが、とてもお美しい姫君で驚いているよ」

「いえ、そんな・・・」

「手厚く我が城へ迎え入れる準備をしているからね、安心してくるといい」

「は、はい・・・」





千代は戸惑いながら受け答えをする。
どうするべきなのか、わからなかった。


輿入れなど、したくはない。
だが、千代の意思とは関係なく進んでいくのはわかっていた。