そして、最後に振り返って千代をまっすぐと見た。




「ちぃちゃんの親が、俺たちの憎き仇だとしても・・・。もう、ちぃちゃんを憎んだり襲ったりしないよ」

「琉鬼・・・」

「だから、安心して」



そう言って笑うと颯爽と窓から飛び立った。
慌てて窓際に行くと、琉鬼は軽やかに屋根を介して飛び降りていく。





「私も、あんな風にここから逃げ出せたらいいのに・・・」




この鳥籠の中から。




ここにいることが、幸せなのだろうか。
ここで、なにも聞かず何も知らず生きていくことだけが。



それが、自分の幸せな未来なんだろうか。





一人になったこの部屋でこれからも生きていくのはとてもさみしい。