「迎えに来たんだ。こいつを」

「天さまを・・・」

「こいつにさま付けなんていらないよ。ちなみに俺にも」

「ですが・・・」

「鬼羅は鬼羅って呼ぶじゃん」




にっこりと柔らかな笑顔を向ける。
その笑顔を見て、千代は少しホッとした。




「ごめんね、ちぃちゃん。天が邪魔をして」

「いえ、天がいてくれたのでとても楽しかったのです」

「そう・・・。でも、いつまでもここにいるわけにはいかないから、連れて帰るね」

「あ・・・そうですよね・・・。はい」




寂しい。
また一人になってしまうのか。

千代の表情が陰る。





「・・・鬼羅に。今度顔を出すように言っておくよ」

「え」




琉鬼は立ち上がり、入ってきた窓の方へ歩き出す。