「おまえか、きーがいっていたにんげんってのは」




それに出会ったのは、鬼羅とのことがあった一週間の後のことだった。
相変わらず部屋に籠りっぱなしの千代。

それは、依然となんら変わらない日常。
鬼羅と出会う前、あの冒険の前に戻っただけ。

だが、千代の心の中だけは違っていた。
例え会えなくとも、鬼羅と過ごした日々は現実で。
鬼羅の温もりも、優しさも忘れてなどいない。


その日々を想い返しながら日々を過ごしている。




「あら、まあ!」



そんな日々の最中、突如目の前に現れた珍妙なもの。
それは、片掌に乗るほどに小さな動くもの。


裸にもこもこのシマシマな着物を腰に巻いて頭に角が一本付いている。
髪はクルクル猫っ毛の栗色の頭をしている。




「あなたは、誰でしょう?」

「おれはてんだ!こおにのてん」



床の上で仁王立ちをして偉そうに自己紹介を始める。
子鬼の天というその姿はとても可愛らしいものだった。
千代はその姿に目を輝かせた。