「もう、これに懲りたら・・・」

「いやです!・・・っ、何度も申しています。私は、鬼羅と仲良くなりたいのです!」



それでも、その気持ちだけは変わらなかった。
もう、あの狭い部屋に一人きりは嫌だ。




「・・・変な人間だ」

「千代です」

「そうだったな」




千代の熱意に負け、鬼羅は呟く。
鬼羅自身、千代に興味を持ち始めていた。

本当は、ずっと前から。
でも、気づかないふりをしていた。


千代は人間。


憎むべき・・・。




「人間だからとお前を拒絶するのは、同じになってしまうからな。鬼だからと殺す人間と」

「鬼羅・・・」




根本的な恨みが消えたわけではない。
胸の痛みも、苦しみも確かにその胸の中にある。

でも、この人間の事を知りたいと思う気持ちに嘘をつくのはもうやめようと。
真っ直ぐで、汚れを知らないこの少女の綺麗な声を聞いていたいと。



そう思った気持ちを、信じてみよう。