沙代が出て行き一人になった部屋。
静かになったその中で、千代は絶望を感じていた。



鬼は人間を襲う。
でも、そんな人間もたくさんの鬼を殺してきた。



だからこそ、鬼羅や琉鬼は怒っていて人間に強い恨みを持っている。




―そんなことをしたら、こいつら人間と同じになるだろ



鬼羅のその言葉の意味を考える。
同じことを、人間がしていた?


鬼だからと、ただそれだけの理由で対峙してきた。



鬼羅に会いたい。
琉鬼に会って、話をしたい。



なにを言っても、伝わらないかもしれないけれど。




なんの、力にもならないかもしれないけれど。





せっかく、外界にできた友だちなの。
もっと知りたいと、思った人たちなの。





千代は、痛む胸を抑えながら強く願った。