「・・・鬼とは、化け物です。人を襲い、たくさんの人間を殺してきた」

「うそ・・・」

「本当です。鬼とは、恐ろしい化け物」




そんなはずはないと。
この目で見て、話した彼らはそんなことをするようには見えなかった。

確かに気性は荒く、口は悪い彼らだが。
闇雲に人を殺すようには思えない。




「鬼には近づいてはなりません。いつだって鬼は人間の命を狙っています」

「そんな!」

「ですから、父上も鬼の討伐に力を注いでいるんです」

「鬼の・・・討伐・・・?」

「ええ。恐ろしい化け物である鬼を絶滅させるため、父上は動いているのです。そのおかげで、少しずつ鬼は減ってきているのよ」





血の気が引いていく。
全てが繋がった気がした。

だって。
だってそれって。



鬼羅たちが人間を恨んでいることに、父上が深くかかわっているってこと。




「あなたも、もう鬼のことは忘れなさい。決して近づこうなんて考えてはだめよ」

「・・・はい」




胸が苦しい。
なんと言えばいいのかわからない。