「冗談だと思った?」

「え?」

「人間を食べる趣味は確かにないけど、殺すことなんてなんとも思ってないよ」

「・・・」

「今、ちぃちゃんを殺せと鬼羅に言われれば、俺はためらうことなくちぃちゃんを殺せる」





残酷な言葉。
淡々と口から発せられた温もりのない言葉たち。

それが冗談なんかではないことがわかるほど、琉鬼の表情は冷め切っていた。
あった時から、明るく砕けた口調の琉鬼。
それは、見せ掛けだったのか。






「なぜ・・・」





千代の口からようやく吐き出された言葉は、そんな言葉だった。





「なぜ?俺が鬼で、君が人間だから」




それは、当たり前のように。
それは、決まりきったことのように話す。


千代にとっては、それは当たり前のことでは決してないのに。