「でも、次って・・・。次は、あるのかしら?」



千代は視線を杏に向けそう尋ねた。
昨日は母上が許してくれたから特別出れたのだ。

また許してくれるかはわからない。


許されるのなら、もう一度森へ行って彼らに会いたいのだ。




「沙代さまはそのおつもりでございます。・・・沙代さまは言い出したら聞かないお方ですから」

「本当!?わあ!また城下に行けるのね!」



何よりの喜びだと感嘆の声を上げる。
城下には、自分の知らない世界が広がっている。
一度の冒険で、そのことをひしひしと感じた千代は、好奇心をどんどんと膨らませていた。




そして、森で会った二人の鬼。
彼らにもう一度会いたいと。


会って、彼らの事をもっと知りたいと。





―人間なんか大っ嫌いだ!




そう言った彼の、心を聞いてみたいと。





千代は強く思った。