鬼姫伝説 Ⅰ




「おでこ、赤くなっちゃったね」

「え?あ、あはは」




地面にうち付け赤くなったおでこ。
掌にも擦り傷ができてしまっていた。




「ちょっと待ってて」




琉鬼はそう言うと軽々と駆け出した。
木に乗り移りあっという間に遠ざかって行ってしまう。




「身軽なのですね」

「化け物、だからな」

「鬼羅さまたちはなんなのですか?わたくしは人間です」

「そんなことを聞いてどうする」

「気になるのです」

「・・・鬼だ」





ポツリと呟くように告げられる。
鬼。
人間ではない別の種族。





「この森にはその鬼さんがたくさん棲んでいるのですか?」




辺りを見渡しながら尋ねる。
散々歩いてきたが二人にしか出会わなかったのだ。