「鬼羅、残念だけど俺たちの負けだよ」
成り行きを見守っていた琉鬼が、ようやく口を開く。
ニコニコと笑い、口に弧を描いて千代を見た。
「ちぃちゃんだっけ?」
「はい。千代です」
「残念だけど、村の人たちが言っている化け物は、本当に俺たちの事だよ」
「え?そうなのですか?でしたら、村の人たちは勘違いをしているのですね」
純粋な、綺麗すぎる心を持っているのだと。
麗しい容姿と、綺麗すぎる心。
いったい彼女は、何者なのだろう。
二人は顔を見合わせる。
「勘違い・・・どうかな。あいつらは、本気でそう思っているからね。それに、本当に恐ろしい化け物かもしれないよ?」
「まあ・・・!でしたら、わたくし戦わなければならないのですね!」
「戦えるの?」
拳を握り体の前につき出し構えた千代を見て、クスクスと笑いながら琉鬼が尋ねた。
まるで殺気もなにも出ていないその構え。
「何事も経験です。精一杯戦います!」
「そ」


