鬼姫伝説 Ⅰ




時はコマ送りのように。



シュンシュンと風を斬る音とともに放たれた弓が一斉に鬼羅に向かって飛んでいく。
辺りは無音のようになにも聞こえず。



琉鬼が鬼羅の名を叫ぶ声も、時光の歓喜に漏れる笑い声もなにも聞こえはしない。




やってくるであろう痛みと苦しみをただ待つだけ・・・。



それ程時間はかかるはずがなかった。
感じたのは、身体を貫く痛みではなくて・・・。




「ちぃちゃん!!!!!」




現実に戻った鬼羅のもとに届いた声は悲痛な叫びだった。

もたれかかるように倒れこんできた小さな体をとっさに抱きとめる。
それが、なんなのか、誰なのかそんなことは考えられなかった。




ただわかるのは、目の前のその背中には自分が受けるはずだった矢が数本突き刺さり赤い血がドクドクと流れているという事だけ。