「ちぇ、せっかく見つけた獲物なのに」




つまらなそうに呟きながら千代の上から降りる。
千代は、慌てて身体を起こし、先ほどの声の主を探した。




その声の主はすぐに見つかった。





真っ白な髪。
もみあげ部分だけが肩くらいまで伸びている。
琉鬼と同じ形状の着物の色は、濃紺。
眉はつり上がり目つきの悪い少年。





「なんだよ、鬼羅。横取りする気か」

「誰がそんな女」




鬼羅と呼ばれたその少年をまじまじと見る。
そして気づいたのだ。





「わ、可愛いツノ!」




白い髪から覗く二本の小さなツノ。
人間の者とは違うそのツノに千代は釘づけだ。





「ね、触ってもいいかしら?」




目を輝かせながら尋ねる千代に、目を見張る鬼羅と琉鬼。