「時光さま、時光さまのご所望の者をお連れしました」

「・・・そうか。連れて参れ」




時光の片方の唇の端が怪しく上がる。
ギラギラと光る瞳が家臣をとらえた。

家臣はひやりと背筋を凍えさせ、一礼すると「はいれ」と促した。




「失礼いたします」




身なりの薄汚い男。
髪はだらしなく乱雑に伸び、無精ひげを生やしている。

本来なら、関わり合いたくもない人物であった。




「そなたが、呪術師か」

「ええ、そうでございますよ」



男はにやにやと薄気味悪い笑顔を浮かべる。





「力は、確かなのだな」

「もちろん」




時光はじっと男を見据える。
その視線にも怯むことなくまっすぐ捉えた男ははっきりと言い切った。