孤独に、泣き出しそうになる。
城にいれば寂しいときには杏を呼び遊び相手になってもらっていた。



迷うことも、孤独を感じることも、涙がにじむこともなかった。




じわじわと瞳を潤していく涙。
孤独に、支配されそうになっていた。





「こんなところに人間みーっけた!」




突如頭上から聞こえた明るい飄々とした声。
次の瞬間千代は地面に組み敷かれていた。

千代の腹部に跨り、手を地面に縫い付け片膝をついて今にも千代にかみつかんとする少年。



金髪の柔らかそうな髪質で、灰色の着物を着た少年だ。
着物は千代がよく知っているものとは少し違うようで、下の袴は細身で足首のところが締まっている。



「喰っていい?」




笑いながら残酷なことを呟く少年の口には牙が。
千代は零れそうだった涙をひっこめ口を開けその少年を見上げた。




「琉鬼、やめろ」





その奥から別の声が聞こえる。
しかし千代からは琉鬼と呼ばれた少年が邪魔で見えない。