吟遊詩人

それは、現在最も華々しく
そして最も辛く苦しい運命を背負った人々だった。

私は、未だにその運命を受け入れることが...できない。

｢おはよう、メグ。大丈夫？...気分悪いとか...？｣

扉がそっと開いて、心配そうな顔がこちらを見る。

彼女はグリンダ・アンバー。愛称はリィ
この、《ワールドエンド》最強の吟遊詩人である。

｢うん、少し頭が痛くて..｣

リィの美しい、菫色の瞳が微かに歪む。
まる自分のせいで私の頭が痛くなったかのような、切ない顔。

｢メグ。何度も言うけど、あの運命はメグが背負わなくてもいいんだ。やらなかったからって、責められるものじゃない。だから...｣

私は、リィの言葉を遮る。

｢大丈夫だから...お願い。一人にさせて。｣
｢......そうか、なら僕は退散しよう。｣

扉が閉まるのを見届けて、私は息を吐き出した。

私、メグこと、マーガレット・ブライズレッドは名門吟遊詩人の一族、ブライズレッド家の一人娘。
現在、吟遊詩人隊の一員行動している。

私は、なんでこんなにも弱虫なんだろう。