「明日香、俺と結婚してくれるか?」

「うん!
……って…えぇ!?」

柊がさらっと聞いてきたから流れで返事をしたけど

柊、何て言った?

“結婚してくれるか”って言ったよね?

私は驚きで叫んでしまう


「そんなに驚くもんか?」

私の叫びにキョトンとした
表情の柊が言った

「驚くよっ!?」

「明日香は俺と結婚するのが嫌なのか?」

「ううん!
嫌じゃないよ!」

柊の言葉を必死に否定した
嫌じなはずなんかないよ!
……
だけど、私はもう少し先の話だったと思っていたから驚いてしまったの

「なら、よかった

返事を聞かせてくれ」


「え、…う、うん

わ、私…も……柊とけ、結婚したい…
です」

柊と結婚できるのはすごく嬉しい!
けど、いざ自分の口からそういうのはちょっとだけ恥ずかしくて
最後の方は声が小さくなってしまった……

「なんだって?

声が小さくて聞こえなかった
もう一回言ってみてくれ」

絶対、聞こえてたのに意地悪そうに笑いながら柊が言う

「うう~
絶対聞こえてたよね?」

と言う私に

「ん?
なんのことだ?」

柊がとぼける

私の反応を見て楽しんでニヤニヤしてる柊に

「結婚、したいです!
私でよければお願いします!」

今度は大きな声で言った!

は、恥ずかしい……
でもなんだかフワフワした幸福感があるなぁ

「ははっ
そんなに大声で言わなくても」

柊は大声で言った私に笑っている

もうっ!
聞こえなかったって言ったのは柊なのに!

ムーッと頬を膨らます私に

「そんなにむくれるなよっ…っっ」

笑いをこらえながら柊が言う

ツンツンと私の頬をつつきながらね……

「だって、柊が意地悪するからだよ」

「悪い悪い、明日香が可愛くてつい……な?」

反省の色が全くない柊が

チュッ

とリップ音をたてながら
私に触れるだけのキスを落とした

「ちょ、急には…ズルイッ」

まだ、キスに慣れてない私はカァーと自分のかおが赤くなるのを感じた

「まだ、慣れないのか?」

ニヤッとしながら柊が聞く

「慣れないよっ
てか、慣れるなんて無理っ!」

柊の顔が目の前に来ることにも
まだ、胸がドキドキするのにキスなんて
一生慣れるはずがないと思う

「なら、慣れるまで何度もしような…?」

柊のその顔はいつもの大人びた表情ではなくて
年相応の何が企みでも思い付いたような
子供っぽい表情になっている