【好きだから別れて】

「お前~この野郎!笑うな!」


あたしの態度のでかさとふてぶてしさにつられたのか、緊張の糸が切れた悠希も笑い出す。


遊びで病院にきたわけじゃないのに、端迷惑もいいとこで二人はやけに浮いている。


「あ~っうける。で、ババァに抜かれた感想はどうよ?」


「感想って恥ずかしいとか言ってらんねぇっつうか、ありえねぇ屈辱だな」


「そりゃ屈辱だろうな。ってかさぁ、ぶっちゃけ歩よりうまかったんじゃね?」


「お前馬鹿じゃねぇの!?」


「だってテクはすげぇだろうし熟練」


あたしが話してる最中、素手が頭に飛んできた。


小突く程度に加減してくれたのだろうけど、骨っぽい悠希の手はあたりどこによっては痛い。


「何すんだよ!地味にいてぇっつの」


「鼻の下伸びてっし笑って話すな!ったくよ!」


エロ話に食いつかれ悠希は呆れている。


それはそうだろう。


せっかく仕事を休んで来てもらってるうえ、悪ふざけし過ぎじゃ悠希に失礼だ。


悠希の機嫌を損ねさせたくなかったあたしは、顔を近付け


「ごめ~んねっ♪」


と言いちょっと猫なで声で甘えてみた。


すると顔を赤らめている悠希は照れだし、頭を撫でてくれた。


「何もなきゃいいねっ」


「何もねえよ。痒みもないし、浮気してねえからなるわきゃない」


さっき笑いすぎて目にたまった涙を指先で拭い取っていると悠希は自信ありげに話す。