愛を知らず、愛を憎しみ愛など存在しないと生きてきたあたしは


1人の男と出会い、惜しみない愛を受け


“愛はこの世に存在する”


そう認めざるをえなかった。


影も形もない誰にも見えないもの。


それを求めもがき続けた22年。


“親なんかいらない!”


“みんな信用しない”


“自分が嫌い、大嫌い”


ふと我に返ると、とてつもない孤独が襲ってきて周りを見渡し、人を必死で探し続ける。


この苦しみから解放されたくて、逃げ道を探しても四方八方を塞がれ逃げ場もない。


どこに身を寄せたらいいのかわからず、その場にうずくまり叫ぶしかなかった。


「一人は嫌!お願い、誰か助けて!歩を一人にしないでよ!」


汚れきったどす黒い土に両手を打ちつけ、全身泥だらけで泣き叫び、助けを求める。


「あたしが悪いの。歩が悪い子だから…パパ、ママ。生まれてごめんなさい…勝手にやどってごめんなさい…」


寒さをしのぐ温かな枯れ葉すら見当たらない暗闇で、心の通わない遠い両親に土下座で謝り続ける。


と暗闇の中に一筋の光が差し込んだんだ。


眩い光に目を細め顔を上げたら


悠希、あなたがいたんだ。


「歩、大丈夫だよ」


あなたの手が


声が


光。


愛の光だった。