【好きだから別れて】

「あれ。メール来ないな…」


数分たってもメールは来なくて、肝心な部分が自分の元に届かない苛立ちで独り言を呟いていると10分後。


やっと悠希のメールがきた。


『最近できたよ』


短文など滅多によこさないのに絵文字もなく、味気ない日本語が画面に乗っかっていた。


あっ。できたんだ…悠希の隣にはあたしじゃない子がいるんだ…


所詮あたしも人の子で、感情はしっかりあって。


例え用のない悔しさが込み上げ、無かったことにならないのにすぐそのメールを消した。


話したい事、聞きたい事はいっぱいあったのに。


何を送ったらいいのかスパッと飛んでしまい、あたしは固まっていた。


――動揺しちゃダメだ。


自分にカツをいれ、平気なフリをして自分を保たないとやってられなくて。


こんなの余裕だろって顔をしてメールを送信した。


『できたんだ~よかったね。おめでとう!可愛い子かな?』


全然よくなんかない。


胸をギュッと締めつけられる感じで重苦しい。


あたし


知らない女に嫉妬してる。


知らない女に憎しみをいだいてる。


悠希の声はあたしのものじゃない。


悠希のキスはあたしのものじゃない。


悠希の優しさはあたしのものじゃない。


悠希の気持ちはあたしに向いていない。


悠希の愛してる人はあたしじゃない。


悠希にとって


あたしは


「元彼女」


過去の女。


過去の


女…