【好きだから別れて】

一人目の旦那も借金で失敗してるのに二人目の旦那も似た人種。


仕事も性格も口調も。


全てが一人目の旦那だった智也とソックリで、あたしの気持ちを見事に逆撫でしてくれる。


が、大人にならなきゃ解決しないし、これから先に繋がらない。


我慢しなきゃ光を幸せにしてやるなんて無理な話…


「あのさ。言い合いしてもしゃあねぇっつかこれだけは言わせてもらうわ。兄ちゃんに債務整理した方がいいんじゃねぇかって提案されたんだわ」


あたしが突然冷静に話し出したせいか真也は頭の上にクエスチョンマークが連なっている。


「債務整理??って?」


「裁判所行って借りたとこに調停かけるの。んでよくわかんねぇけど借金が少しはマシになるらしいんだわ。利子も減って生活ラクになるしマイナスにはなんない」


「この話に食い付け」と願い、真也の反応を確かめてみる。


普通の人間ならプラスに転じる話に興味を示すはず。


金が浮く生唾もんの話。


喜んで飛び付かないのはバカもバカ。


さすがの真也でもこれしか最後の手段が残されてないと気付いてる。


「んなもんしねぇよ。面倒くせぇ」


「えっ?」


「返せっからいんだっつの!」


拍子抜けしてあたしは今起きている状況を把握しきれないでいた。


もう二度と来やしない助け船に乗らず、まざまざ手を降り見送るなんて信じがたいし、ありえない。


ありえない。


ありえない!