【好きだから別れて】

「…」


「…」


間と間。


無言になる回数が多く、次の会話に繋ぐまで時間かかり焦れったくてイライラしてくる。


会ったばかりで悪いがつまらない出だしじゃノリきれないし、非常に帰りたい。


「…あ」


「は?」


「ん」


「はぁあ?」


ありえない。


イライラ、イライラする。


こういう男、マジで大っ嫌い!


「何しよっか」


「さぁ。何ってないし会話でいんじゃない?」


「だね」



その言葉を期に繋ぎきれない会話と言えない会話はエンドレスに続いた。


再度悪いけど、とことんつまらなくてあくびが出そうだ。


自販機で手に入れたホットココアを懸命に飲み干し、あたしは眠気を覚まして真也の話を聞いている。


無意味な遊びに力を注いでる意味すらわからない。


そこからどうした事だろうか。


あたしは余程不愉快だったらしく、どんなやりとりをしたのか記憶がスパッと飛んでいる。


しいて覚えてる唯一の会話は「ミルクが可愛くてさ」


適当に名前をつけた猫の会話をしたぐらいだ。


猫なんてどうでもいい。


あたしにはどの角度から切り込んでも関係のない話だ。


見事に久々に「マジで関わりたくない」と思える男に会ってしまった。


陸が運んできた「負」を纏う男。


嫌い、嫌い、嫌いずくめの最高につまんない「負」の男。


悠希とは似ても似つかない。


智也に近い、イカツクてヤンキー染みてて悪さの滲み出た非伊達男。


悠希は二枚目な色気のある伊達男。


真也は三枚目な色気のない非伊達男。


もう会いたくない…