【好きだから別れて】

仕事を終え帰宅した翌日の夜。


床に寝転がりテレビに食い付いていたら、楽しみにしていた真也の写メールが約束通り届いた。


「おぉっ!なんだこりゃ!ウケる。」


携帯の画面にはアホみたいなあたしの顔が映し出され、感激と笑いがこみ上げる。


初めて撮りました的な証明写真並みの顔。


唇が尖り、ガッチガチなのが面白い。


嬉しくてずっと携帯画面に見入っていると、メールマークが点滅して真也の二通目のメールが届き、文が綴られていた。


『最近猫飼ったんだけど名前一緒に考えてくんない?』


意味がわかんない。


なんせ興味のない「嫌いな男」のお願いごと。


なんで仲良くもないのに頼まれなきゃならないんだ。


真也の唐突なお願いに戸惑っていると、ついさっき飲んでいた牛乳パックが目にはいった。


あたしが何も考えず『ミルクでどう?』と適当な返信をした。


すると、ものの数分で真也からメールがきた。


『可愛い名前だね。ミルクに決定!ありがとう』


――えぇっ!?決定したの?こんなんでいいんかい飼い主さん!


こんな適当に付けた名前が採用となり、正直返答に困った。


命ある生き物の名前。


家族に匹敵するペットの名前なのに…


『まぁ可愛がってあげてね』


無責任だが「関わる予定なしの男と猫だしいいや」って感じに適当に思ってもいないメールを返信した。


返信すればまた真也はメールを返してきて、あたしもメールを返してをダラダラ続けていたら、メールをしているうちどちらが切り出したかわからないが『また会おうね』と約束を交わしていた。