【好きだから別れて】

「きゃ~やべぇ!すげぇ。すげぇよ!」


カメラのシャッター音が一丁前になったり、即座に写し出される画面。


普段扱ってきたカメラとは違う手軽さがハイテクで過ぎてヤバイ。


とにかく興奮の嵐。


あたしは何枚も写メを撮って一人で盛り上がっていた。


と「クククッ」と後ろから笑い声が聞こえ振り返える。


「何やってんの。ははははっ」


数分で戻ってきた真也は、必死に自分撮りをしているあたしを見て大笑いしていた。


「あはっ」


恥ずかしい変な姿を見られてしまい苦笑いでごまかす。


そんなあたしを見てもまた愛想無く無反応にさっさと先に部屋に行く真也。


なんとなく追いかけなきゃいけない感じがしてあたしも一緒に部屋へ戻った。


「ちょっと真也君待って!アドレス教えるから後でこれ送ってよ」


「いいよ」


――さっきは笑ってたのに…相変わらず単語の無愛想な奴。まっ、いっか


どうしても写メというハイテクな物が欲しい。


欲にかられたあたしは色恋などなしに真也へアドレスを教え、そのまま何事もなかったようにカラオケを続けた。


約二時間。


ガンガン歌を歌うと退室時間になってしまった。


歌い足りないなんてなかった四人は延長なしで部屋を出て料金を払い、カラオケをあとにした。


「これからなんかするぅ?」


「いや。別に何ってなくね?」


「だよなぁ。帰るか?」


「うん。今日は終了でいんじゃね~帰るべや」


特別何をしたいなんて気持ちが浮かびもしない。


誰一人反論無しに帰宅が決まり、あたしも迷いなく陸に送ってもらいさっさと家へ帰宅した。