【好きだから別れて】

「久しぶり!飢えてる女に愛の手を。っつうのは冗談で、合コンしねぇ?」


「お前は相変わらずアホ女だな…つうか合コン?」


地元では相当名の売れている男友達、陸(りく)に電話をかけた。


隆は名が売れてるだけに尋常じゃない数の友達がいるのをあたしは知っている。


コイツなら間違いない。


腐る数の人間をあたしの元に運び、暇な日がなくなるはずだ。


「男欲しいとかちゃうぞ。とにかく楽しみたいだけ。セッティング頼む。つかしろ!」


「んじゃ、歩も可愛いの連れて来いよ?」


「ブスしか知り合いいねぇ~」


「ブスは無理!」


「嘘々!ブス外して可愛いのな?まかせとけ」


「ならオッケー♪可愛いのな」


「おうよ!んじゃ来る女決まったら日付はメールすっからさ。頼んだぞ陸。じゃ~な」


悠希の影を追ってせつなくなるのは終わりにするんだ。


人なら誰でもいい。


この死にそうな時間を潰せ…


そしてあたしはあっという間に女友達を誘い出し、了承を得て陸にメールをした。


――これでいいんだ。悠希は悠希の道を歩いて行くの。あたしはあたしの道を歩け!


自ら新しい道を強引に無理矢理作る。


そうでもしなきゃやりきれない。

逃げと言われようがそれでもいい。


陸に送信した携帯を見つめ「周りなんかぶっ潰して生きてただろクソ女。人間なんざ利用すんだ」


ちょっとでも闇を抜け出そうとしたら自分で自分を追い込み、髪を掴んで引きずってでも闇に押し戻した。