姉がいなくなった静けさの残る部屋。


そこであたしはバッグを開け、パニック障害の薬を取り出した。


雑にしまわれた大量の薬が袋越しにこっちを睨む。


あたしはすぐ手に薬を持ち、台所に置かれてあるゴミ箱へ向かい薬を右手で袋ごと握り潰した。


――薬なんていらない。もういらないの


姉のように本当の意味で強くなりたかった。


現実と向き合い、自力で立ち上がる強さが欲しい。


だからあたしは薬と決別する為、ゴミ箱に薬を投げ捨てた。


「あんたには頼んない。歩は変わるんだ」


姉に気付かれぬようにティッシュを大量に重ね、薬と一緒に押し込み躊躇せずその場を去る。


これがあたしに帯するあたしの意思表示だ。


薬を手離すのはとても危険な行為。


それでもあたしは自分に期待したかったんだ。


家族の絆を。


家族愛を。


信じてみたかったんだ…