ティッシュを箱ごと差し出す医者に軽くお辞儀し、鼻水か涙かわからない顔を拭いた。


「先生、パニック障害ってよくわからない…初めて聞いたから…」


「そうだよね。まだ世間に浸透してない病気だから知らないのが当然。でもこれは誰でもなりうる病気なんだよ。原因がわからず君みたいに悩んでる子がたくさんいるのがこの病気の現状なんだ」


「あの…誰でもなるんですか?どんなに強い人でも?」


「うん。強い人っていうか強く生きようと気を張ってる人でもちょっとした拍子に…なんてザラだよ」


「誰でもなる可能性があるんだ…」


「うん。簡単に説明すると人は皆感情を脳でコントロールする。でも怒りを抑えるには脳から…」


落ち着いたのを見計らったのかそれから医者はパニック障害について深く説明をしてくれる。


“セロトニン”“自律神経”難しい言葉を並べられ、いまいちわからず首をかしげていると


「だよね。説明してもわかりずらいと思うんだ。これコピーしてあげるから家でゆっくり読んで。まずは薬を出すんで一緒に治しましょう」


医者は看護婦にコピーを頼み、印刷された紙をすぐ手渡してくれた。


薬を飲まなきゃいけないレベルまで病んでいた小さな自分。


ショックを隠しきれず、肩を落としうなだれたが、もう治療は始まりだしたんだ。


止まったら


逃げたら


人間崩壊してしまう…