今日も、あの夢を見るのだろうか。


礼太は布団に入り、天井の沁みを見つめながら考えていた。


どうして、あんな夢を見るのだろう。


宗治郎が、礼太に何かを教えようとしているのだろうか。


礼太の前世だという宗治郎(正確には、何回かの転生を隔てているらしいが)。


奥乃家が二代目当主、宗治郎。


奥乃本家の守り神ともいえる廉姫と最初の契約
を交わした、いわば一族の伝説。


そんなすごい人間と自分が魂を共有していると言われても、いまいち実感がわかないのが現状だった。


最近は必ずと言ってよいほど見る、過去の夢だけが、唯一の繋がりだ。


(正直、あんまり見たくもないんだけど)


しかし、だ。


宗治郎は奥乃姫を己の身体に封印し、自分の身体ごと姫を破壊しようとしたが、結果的に失敗した。


宗治郎自身ですら、神にも等しい魔である奥乃姫を封印する器としては足らなかったのだ。


おかげで、宗治郎の魂は己の内に妖姫を封印したまま、何度も何度も転生する羽目となった。


礼太が何度目の転生なのか、それは廉姫にも分からないらしい。


今も、礼太の中で、魔は蠢いている。


奥乃姫を倒すための手がかりは、もしかしたら夢の中にあるかも知れない。


今は、その可能性に縋るしかない。


礼太は目を閉じた。


意識が混濁する。


『そう、じ、ろう……』


胸の奥で、誰かの優しい声がした。