「げほ、げほっ」

「夕陽先輩ッ」

身体を小さくして胸に手を当て、夕陽が咳き込みだした。顔色が悪くて今にも吐き出しそうだ。もう口から物が食べられなくなった夕陽。俺よりも進行が早くて、出会ったときの元気な佐藤夕陽の姿はなくなっていた。

「ユリ...ハ...ごめん、吐きそう...ゲホゲホッゲホッ...っうううっ」

由莉葉ちゃんが容器を渡すより先に、夕陽の嘔吐は始まってしまった。
でも夕陽は必死にベッドのシーツに吐くまいと手で嘔吐物を抑えている。