優菜が来る前から、吐き気は俺を襲う。
それは本当に突然だった。
あぁ…お父さん、こんなに苦しかったのか。俺は当時小学生で、普段笑顔を絶やさないお父さんがガンの痛みで顔を歪めていたり、副作用で咳き込み苦しそうに吐き出すのを見て、たまに逃げ出してトイレで泣きながら吐いてしまうこともあった。

「うぇっ…うぇっおぇっ…ぅぅっ」

苦しい。苦しい。涙が止まらない。末期じゃなくてもこんなに苦しいものか。

(ごぼっごぼごぼごぼっ)

食べたものが出ていく。気持ち悪い。俺は小さい頃から嘔吐物を見るのが苦手だ。
見るだけで気分が悪い。その臭いと見た目で気持ち悪くなって更に吐く。

「うぇぇっ、、うええっ、、」

もう…やめてぇよ…。まだ…一日目なのに…辛い。苦しい。